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工場の火事・自然災害の被害も火災保険を活用できる?

2019年12月17日 公開

保険

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住宅を購入・賃貸する時には、不動産会社や金融会社から火災保険への加入をほぼ強制のような形で推奨されます。特に住宅ローンを組む場合は、火災保険に加入することが絶対条件になっている場合も多々ありますが、火災保険というものがどのようなものかわからないまま契約してしまうこともあるでしょう。

火災保険は、その名の通り火事が起こった時の被害を補償してくれる損害保険です。加えて、火災以外の自然災害による被害も補償してくれる保険なのですが、個人契約だけではなく法人契約用の火災保険も各損害保険会社から販売されています。法人の火災保険の場合は事務所・店舗・倉庫・工場や付随する機械設備などが火災保険の対象になるのですが、住宅用との違いはあるのでしょうか。

そもそも火災保険とは何か?

火災保険とは損害保険の一種です。火災はもちろん、強風・大雨・大雪・落雷など自然災害による被害も補償対象となるため、「住まいの総合保険」と呼ばれることもしばしばです。被害が補償されるのは「建物」や「家財」です。建物の中には門・塀・物置といった“動かすことのできない”付帯する設備が、家財には家具・家電・衣服など“動かすことのできる”ものが含まれます。

【関連リンク】
・保険法の期限が3年!?火災保険の時効について
・プロが教える!火災保険請求のコツとは?雨漏りや屋根修理で火災保険を使う前に覚えておきたい全手法を公開!

住宅で火事や自然災害による被害が発生してしまうと、建物や家財に大きな被害が出てしまいます。そのため、完全に復旧・再調達するためには多額の出費が必要となるのですが、その経済的リスクをカバーしてくれるのが火災保険ということになります。

火災保険の対象は「建物」「家財」「建物+家財」の3種類

火災保険の対象となるのは、建物と家財です。そのため、火災保険では以下の3種類から補償の対象を選ぶことになります。

① 建物のみ
② 家財のみ
③ 建物と家財の両方

このように、火災保険の契約は補償の対象によって変わります。そのため、火災保険の契約内容は多彩でオリジナリティの高いものとなるのが特徴です。また、①②の場合は支払われる火災保険について注意が必要です。例えば①建物のみという契約をした場合、火事や自然災害で被害に遭った家財については補償対象となりませんので保険金は支払われません。逆に②家財のみという契約の場合は、同様に住宅に被害が出ても工事代は補償されないということになります。このように考えると、③建物と家財の両方を補償対象とする契約にするのがベストな選択といえます。

火災保険の補償内容と補償範囲について

火災保険は、契約時に決めた保険金額が上限となるため、それ以上の金額が保険金として支払われることはありません。その中で、被害を受けた部分の金額について保険金を受け取ることになります。具体的には、以下のような被害を補償してくれます。

●火災…失火やもらい火による火災の被害を補償してくれます
●落雷…落雷による被害の補償してくれます
●破裂・爆発…破裂や爆発による被害の補償してくれます
●風災・雹災・雪災…風・雹・雪などによる被害を補償してくれます
●水濡れ…漏水などによる水濡れの被害を補償してくれます
●水災…台風や集中豪雨による被害を補償してくれます
●盗難…盗難に伴う盗取・損傷・汚損による被害を補償してくれます
●騒擾・集団行為等に伴う暴力行為…暴力・破壊行為の被害を補償してくれます
●建物外部から物体が落下・飛来・衝突した時の被害を補償してくれます

ただし、火災保険について注意すべきこともあります。それは、火災保険がすべての自然災害の被害を補償しているわけではなく、「地震・津波・噴火」による被害は対象外となっていることです。これらの災害による被害は、火災保険とセットで任意加入することになる地震保険で補償することになります。地震保険は単独で加入することができないこともポイントです。ちなみに、地震が原因の火災は火災保険ではなく地震保険による補償になるので、注意が必要です。地震大国・日本においては火災保険と地震保険の両方に加入しておくことをおすすめします。

工場の火災保険に入っていないオーナーは意外に多い

では、法人契約において工場にかける火災保険はどのようなものなのでしょうか。一般的には建物全体に対しては企業もしくはオーナーが加入することになります。企業がそのまま使用する場合は、設備についても企業が火災保険を掛けることになりますが、賃貸の場合はテナントが設備についてのみ火災保険に加入するケースが多くなっています。これは、マンションやアパートの賃貸の際の火災保険の加入方法と同じと考えて良いでしょう。しかしながら、工場の火災保険についてはそもそも加入していない企業・オーナーが多く存在します。それはなぜでしょうか。

まず、工場向けの法人火災保険の存在を知らないことが挙げられます。そして、以前は火災保険に加入していたものの、契約期間が切れてから更新しないで放置されているケースも多いようです。そして、オーナー自身が火災保険に加入する必然性を感じていないことも挙げられます。特に、工場を管理していた不動産会社から火災保険の話を聞かなければ、何も知らずにそのまま使用していることもあるでしょう。しかし、火災保険に未加入のままで火事や自然災害による被害が起きてしまうと、万が一の時に経済的リスクを背負うことになります。

工場・倉庫にかける火災保険とは?

工場の火災保険は、法人契約になることがほとんどです。しかし、個人の火災保険と違って、法人の火災保険は同じ企業・オーナーが複数の物件にかけることになるので、以下のような問題が発生することがあります。

●ビルや施設、事務所などがバラバラの火災保険に加入している
●更新のタイミングもバラバラになってしまっている
●被害が発生した場合、問い合わせ先が複数ある

このような場合、一番注意が必要なのがどの火災保険でどこまでの補償がついていていつ更新時期になるのかを把握しておくということです。火災保険を物件ごとにバラバラに契約していると、それぞれの契約内容が違うことはよくあることですが、同じ被害に遭った時に補償されるものと補償されないものが出てくるリスクがあります。そのリスクを回避するためには「企業財産包括保険」に加入します。この包括保険は、企業が持つ施設の保険契約内容を統一することで手続きを簡潔化するものです。

包括保険の補償の範囲

在庫などの補償

法人用の火災保険である企業財産包括保険では、以下が補償対象となります。

① 企業の持つ資産の損失の補償
企業が持っている建物や商品などの資産の損失を補償するので、自社のビル・工場・倉庫・事務所・店舗・社宅・厚生施設などが包括して補償対象となります。また、保険契約中に新たに購入した資産も自動的に補償されるオプションもあることから、補償漏れという事態を免れます。

② 会社が休業している期間の利益の補償
火災や自然災害により、会社の施設が被害を受けた時に休業期間ができてしまうことがあります。その際は、休業がない場合に出ていたであろう利益について補償します。この補償は「経常費補償」「仮店舗費用補償」などと呼ばれ、休業期間中に発生する家賃やリース費用などの支出を賄うために必要なものです。

③ 業務に利用する現金・貴金属等が盗難された場合の補償
工場にも業務用の現金・小切手等を保管している場合があるでしょう。これらに関しては、補償金額が限定されていることがほとんどですが補償されます。ちなみに、盗難された金額をすべて補償するための「業務用通貨等盗難補償特約」なども存在するので、必要な場合は保険会社に相談してみましょう。

④ 借りている建物に被害が出てしまった場合の損害賠償額の補償
火災保険の対象となる被害が自社の持ち物ではなく借りている建物に出てしまった時は、オーナーに対して損害賠償責任を負うことになります。このリスクを回避するためのオプションとして「借家人賠償責任補償特約」があります。これは、多数の建物を賃貸している場合に包括的に補償してくれるもので、新たに追加で建物を借りた場合も自動的に追加補償されるものです。

⑤ 借りている建物の被害がひどく利用不可能になった場合の代わりの建物の家賃の補償
火災保険の対象となる被害が発生した時に、借りている建物の被害がひどくすぐに修復できない場合は、その建物が原状復帰するまでに代わりの建物を借りることになります。その際に効力を発揮するのが、家賃補償をしてくれる「家賃補償特約」です。

⑥ 食中毒など病気に関わる損失をカバーする特約
商品を製造する工場では発生するリスクはあまりないですが、食品を扱うサービスの場合は食中毒や感染症などが工場内で発生することがあるかもしれません。その場合、営業停止処分を受けると休業期間が発生してしまいますが、その間に出る想定だった利益を補償する「食中毒・特定感染症・利益補償特約」といったオプションもあります。

店舗でも火災保険への加入を検討しよう

工場を運営している法人の場合、工場への火災保険に加入するのは必須と考えた方が良いでしょう。そのため、どのような補償をつけた火災保険に加入するかを検討するかは、企業にとって大きな課題ともいえます。基本的な火災保険のルールは、法人用も住居用も大きく変わりませんが、上述の通り法人用には包括保険がありますので、複数の物件に火災保険を掛ける場合は検討しましょう。また、工場の場合は住宅の家財補償よりも高額な設備や備品を補償対象とするケースも多いと思われますので、適切なプランで火災保険に加入することでコストの適正化を図りましょう。また法人用火災保険には、火災や自然災害などの災害以外の企業が抱えるリスクも総合的に補償する「企業総合保険」という商品もありますので、自社に合った火災保険の契約をするようにしましょう。

【関連リンク】
・店舗の火事・自然災害の被害も火災保険を活用できる?

倉庫の火災保険は住宅よりも高めに設定される

倉庫の火災保険は、住宅用火災保険よりも料率は高めに設定されていることがほとんどです。また、業種ごとに割増率は変化します。工場によって、火災が起こるリスクがある設備の数というものは違いますので、当たり前の話ですが、火災リスクの高い工場の方が両立は高く設定されます。この業種による料率の違いは、保険会社ごとに設定されているので、工場の火災保険の料率は一定ではありません。割高な保険会社で加入してしまうと、他の保険会社よりも30%以上保険料が高くなるということもあるので注意が必要です。

【関連リンク】
・倉庫も火災保険に加入できる?倉庫に対しての補償内容を知ろう

倉庫向け火災保険は代理店系で加入することが多い

店舗の火災保険は通販型ではほとんど扱いがないことから、国内の保険会社の代理店系で契約することになります。選択肢は住宅用の火災保険より少なくなってしまいますが、先述の通り料率は大きく変わりますので比較検討することを忘れないようにしましょう。

工場における火災保険活用の事例

工場事例

それでは、工場ではどのような被害が火災保険の対象となるのか、具体例を挙げておきましょう。

●台風による被害
工場が大雨による洪水で被害を受けた際に、設備の復旧費用を火災保険で賄うことが出来た。そのため、すぐに事業再開ができ被害を最小限に抑えられた。

●不注意による被害
工場清掃中に従業員がコードに引っかかり管理システムが故障してしまった。しかし、すぐに復旧費用が火災保険で支払われたために、新品を導入して回転率の減少を最小限に食い止められた。

●水浸しによる被害
工場で漏水が発生して保管していた商品が汚損や故障が発生した。しかし、商品代を火災保険で賄うことができたことから大きな被害は発生しなかった。

●爆発による被害
設備の老朽化により、工場で爆発が発生して建物の一部が損壊した。しかし、すぐに火災保険金が支払われたことから、撤去費用だけでなく修理・休業による被害なども補償された。

このように、法人が企業財産包括保険のような火災保険に加入しその財産を守ることで、万が一の事態が起きた時の経済的損失を最小限にすることができます。また、火災保険を一括管理すれば補償の漏れを防げますし、余計な事務作業も減ります。工場にかける火災保険を上手に活用して、経済的リスクをなくしましょう。