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貸し倉庫やトランクルームを運用する時の注意点やサブリースについて解説

2020年3月23日 公開

近年、街中でトランクルームの看板を見かけることが増えてきました。貸し倉庫やトランクルームは、土地活用の方法として注目を集めています。貸し倉庫やトランクルームでの運用をするメリットは以下のような点が挙げられます。

・初期費用が安く済む
・住宅と比較すると期待利回りが高い
・比較的管理の手間が少ない

一方で、成長途上の業界であるゆえの認知度やトラブルの対応など、運用管理の難易度が高い側面もあるのが事実です。この記事では、貸し倉庫やトランクルームのメリットデメリットや、運用管理の注意点などについて解説します。

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貸し倉庫やトランクルームの運用は利回りが高い

貸倉庫

貸し倉庫やトランクルームの運用が注目を集めている理由の一つは、その利回りの高さです。業界のトレンドとしては、しっかり稼働させることができれば、貸し倉庫やトランクルームの運用は15%以上の利回りを出せることも多いとされています。

例えば東京都内で住宅を賃貸運用した場合の期待表面利回りは4%前後とされているので、住宅と比較すると、期待できる利回りはかなり高いです。利回りが高い上に、住宅を購入して賃貸運用する場合と比較すると初期費用が少なくて済むので、初期費用を回収しきるまでにかかる時間が少なくてすみます。

また、貸し倉庫やトランクルームは、住宅と違って駅近でなくても借り手がつきやすいです。人が住むわけではなく、そこまで頻繁な出入りはないことが理由となります。

そのほか、特にトランクルームは住宅と比較して初期費用が安く済む場合が多いです。概ね200万円〜300万円が初期費用の相場とされており、住宅の賃貸運用よりも手軽に始められるのは大きなメリットとなります。

なお、東京都内を中心として日本各地でトランクルームを運用している企業の情報によると、貸し倉庫・トランクルームの市場規模は年々拡大する一方です。2019年の市場規模は635億円で、2025年には1,000億円規模にまで成長する可能性があると予測されています。

貸し倉庫・トランクルームは、人口が集積する都市部を中心に、今後もニーズが増える見込みが高いです。

貸し倉庫とトランクルームとの違い

貸し倉庫もトランクルームも同じような意味合いで使われていることが多く、両者の違いはわかりにくくなっています。また、倉庫業界でも似たような意味合いで使われていることが多いです。

しかし、貸し倉庫なのかトランクルームなのかによって、所有者と利用者とが締結する契約内容には明確な違いがあります。

貸し倉庫は不動産の賃貸借として扱われる

貸し倉庫の利用契約は「倉庫という不動産を賃貸者する」内容になります。一般的な住宅を賃貸借するのと同じです。したがって、賃貸運用するオーナー側にとっては貸し倉庫の方が馴染みやすいでしょう。

なお、現在ではトランクルームの方が多くなってきていますが、もともとは貸し倉庫の方が一般的でした。

トランクルームは物品を預ける預託契約として扱われる

一方、トランクルームの利用契約は「倉庫で荷物を預かる」内容になります。不動産の賃貸借契約ではなく荷物の預託契約になるので、運用管理にあたり貸し倉庫とは違う法律が適用されます。

貸し倉庫とトランクルームのメリット・デメリット

利回り
契約内容の違いにより、貸し倉庫とトランクルームとにはそれぞれ違うメリット・デメリットがあります。

貸し倉庫のメリット・デメリット

まず、メリットとしては行政からの許認可が必要ありません。締結する契約が不動産の賃貸借契約となるため、この点は住宅を賃貸運用するのと同じです。トランクルームと比較すると、管理会社を見つけることさえできれば、スムーズに賃貸運用を開始できます。

また、これは法律上明記されているなどではありませんが、オーナーは一般的に貸し倉庫の内部に収容する荷物の保管責任を負わないことが多いです。あくまでも倉庫という不動産を賃貸するまでであって、中に保管する荷物にはタッチしないというスタンスを取ることになります。

一方、デメリットとしては、規制が少ないために気をつけて運用しないとトラブルを誘発しやすいです。契約が不動産の賃貸借契約になるため、不動産関連の法律が適用されます。したがって、倉庫利用に関するルールを契約書にしっかり明記することが必要です。

もう一点のデメリットとしては、運用面積の確保ができないと、他社と比較して見劣りしやすいポイントが挙げられます。業者が運営している貸し倉庫は、かなり大型の倉庫が多いためです。

トランクルームのメリット・デメリット

トランクルームのメリットとしては、倉庫と比較して運用面積が小さくても始められる点が挙げられます。一般的にトランクルームは規模が小さいものも多いため、規模感で競争に負けてしまうことは少ないでしょう。

一方、デメリットとしては、運用を始める前に許認可を要する手間がかかる点が挙げられます。トランクルームは荷物の預託契約を結ぶことになるので、倉庫業法に基づいた国土交通省への登録届出が必要です。

また、収容する荷物の保管保証を負うことが多いため、セキュリティ設備を整えるなどのことも必要です。そのほか、天災に備えて保険に加入することも検討すると良いでしょう。

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貸し倉庫・トランクルームの運用管理における注意点

貸し倉庫・トランクルームは初期費用が安く、高い利回りを期待できます。その一方で、賃貸運用するにあたっては固有の注意点があります。

一般的に、住宅を賃貸するよりも借り手を探すのが難しい

貸し倉庫やトランクルームは、住宅と比較するとインターネットによる広告が一般化していません。また、一般的な不動産屋が取り扱っている情報も少ないです。このため、借りたいニーズを持っている人へのアプローチが難しいので注意が必要です。

住宅と違って固定資産税を減額することができない

住宅と違い、貸し倉庫とトランクルームには減税できる仕組みがありません。例えば住宅ローンには住宅ローン減税の制度がありますが、倉庫・トランクルームの運用にはそのような制度がなく、固定資産税が満額かかるので、注意しましょう。

違反利用などに気付きにくい

人の出入りが少なく、中に入っているのは荷物だけという点で、住宅と比較すると管理の手間が少なくて済むのは、貸し倉庫・トランクルームのメリットとなります。しかし、貸している側が倉庫やトランクルームの中に入る機会は少ないため、違反利用などがあっても感知しにくいというデメリットがあります。

契約上は倉庫としてのみ利用できないようになっているのに、使用者が倉庫を事務所として使い始めたためトラブルになった例もあります。管理会社選びが鍵を握ると言えるでしょう。

貸し倉庫・トランクルームを運用する上での管理会社の選び方

貸し倉庫やトランクルームは、管理に手間がかからない一方で、利用者探しや違反利用の早期発見は難易度が高いです。管理会社選びが賃貸運用成否の鍵を握るという点は、住宅の賃貸運用と共通のポイントとなります。そこで、管理会社を選ぶポイントについて解説します。

賃貸管理の実績があるかどうか

管理会社を探すときには、必ず貸し倉庫・トランクルームの賃貸管理について実績がどれくらいあるのか確認しましょう。デメリットとしてご紹介した通り、住宅と比較すると借り手を探す難易度が高いためです。

現在賃貸管理しているボリュームはどれくらいあるのか、稼働率は何%なのか、募集開始から借り手が見つかるまでの平均期間はどれくらいなのかなどが具体的な確認ポイントとなります。

初期費用が安く高利回りを期待できるとはいえども、借り手が見つからなければ、利回りを得ることはできません。

どのように点検・メンテナンスを行うのか

貸し倉庫・トランクルームは管理の手間がかからないといえども、基本的な掃除や、設置されているのならば空調設備などのメンテナンスは必要です。

特に屋内トランクルームなどの場合は湿度管理に気を使う必要があります。分譲マンションのトランクルームでも、地下に設置されているために湿度が高くなり、荷物がカビてしまったなどの原因でトラブルになるケースは多いです。

一般的には、トランクルームの中にカビやすいものなどを置かないようルールを定めます。しかし、よくある事例の一つなので留意しておきましょう。

防犯対策は十分か

貸し倉庫・トランクルームの運用で多いトラブルの一つとして、廃棄物の放置が挙げられます。不用品を残置したまま契約を解約されてしまうケースです。このようなトラブルや盗難に対する対策として防犯カメラの設置などは必須となります。

管理会社を選ぶときには、防犯カメラの運用をどのようにするのか、管理費用とは別料金になっていないかなどを確認するようにしましょう。

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貸し倉庫・トランクルームの賃料をサブリースで受け取るメリット・デメリット

貸し倉庫・トランクルームのサブリースも、基本的に居住物件のサブリースと同じでローリスクローリターンの傾向があります。ここからはサブリースを利用するメリットやデメリットをご紹介します。

賃借人の有無にかかわらず賃料を受け取ることができる

サブリースの最大のメリットは、空室リスクを回避できることです。これは、借り手探しが難しい貸し倉庫・トランクルームの運用にあたっては、非常に大きなメリットとなります。

なお、住宅の賃貸よりも基本的な想定利回りが高くなる分、アパートなどのサブリースよりも、高い保証利回りを期待することができるでしょう。

管理の手間が減る

一般的な賃貸借契約では、修繕の要否や借り手の募集方法・募集賃料などの判断が全てオーナーに委ねられます。しかし、サブリース契約を締結していれば、それらの判断を管理会社が行うことになります。こうした管理の手間が減ることは、サブリース契約のメリットです。

トラブル対応の手間が減る

各管理の手間と同じく、盗難や残置物などのトラブルが発生した場合の対応判断についても、サブリース契約を締結していれば、管理会社に委ねられます。トラブル対応の判断は、管理関係に関する判断より難易度が高いことも多いです。サブリースを利用すれば、心理的な負担を軽減することにもつながります。

保証賃料が相場より低くなることが多い

サブリースを利用するデメリットとしては、サブリース会社が収益を確保するため、通常の賃貸をするよりも賃料が低くなることが挙げられます。空室リスクを回避できる分、デメリットも発生することを認識しておきましょう。

また、サブリース開始後3ヶ月間などは免責期間として賃料が入ってこないことも多いので、これも注意が必要です。サブリース契約の前に必ず確認するようにしましょう。

そのほか、サブリース会社の力量がなかったり、トランクルームのニーズが減ったりした場合は保証賃料を減額されることもあります。これについては、管理会社選びの確認ポイントと同じく、できる限り実績があるサブリース会社を選ぶことによってリスクの低減を目指すと良いでしょう。

マナーの良くない賃借人が入る可能性がある

サブリースを利用していると、サブリース会社が収益を確保するため、マナーの良くない借り手でも契約してしまうことがあります。

貸し倉庫やトランクルームは、住宅ほど契約前後のメンテナンスが必要ありませんが、使い方によっては多額の維持修繕費が発生することもあります。サブリースは借り手の属性がリスクになりえることを押さえておきましょう。

サブリース会社倒産のリスクがある

あらかじめサブリース契約を締結していても、サブリース会社が倒産してしまうと、サブリース契約は終了します。一般的に、サブリース契約が後任の管理会社に引き継がれることはありません。

サブリース契約を締結する前に、保証賃料設定や想定収益の妥当性を確認することが必要です。もしも設定の根拠が不十分と感じられる場合は、サブリース会社とよく話し合って再検討する方が良いでしょう。

まとめ

貸し倉庫やトランクルームは、住宅と比較して初期費用が安いこと、利回りが高いなどの点から土地活用の選択肢としておすすめです。一方、借り手を見つける難易度が高いことや、防犯性など独自の注意点があります。

首都圏を中心に広がりつつあるものの、業界的にはまだ伸びしろの方が大きく、管理経験が豊富な業者も限られているのが現状です。こちらの記事を参考に管理会社の見極めをしつつ、投資運用の選択肢として検討してみてください。



記事監修


kansyuu
【一級建築士】登立 健一
一級建築士。全国建物診断サービスのwebサイト監修の他、グループ会社の株式会社ゼンシンダンの記事も監修。