公開:2020年10月14日 更新:2021年7月27日
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毎年のように日本に接近・上陸する台風によって、日本各地で被害が発生しています。ただし、日ごろから備えておくことで、台風の被害を最小限に抑えることができます。
そこで今回は、台風で発生しやすい被害と、台風対策について紹介します。現在、台風に対する備えをしていない場合は必見です。
【要注意】台風で発生する被害とは
夏から秋にかけて、多くの台風が日本に接近・上陸します。台風被害は、台風の勢力や地形の条件によって大きく変化するため、自分の住んでいる地域にどのようなリスクが潜んでいるのかを必ず確認する必要があります。いずれの被害も、水害に分類されますが、ここでは雨・風・雨と土砂による被害に分けて紹介します。
<台風で発生しやすい被害>
雨による災害 | ・氾濫 ・洪水 ・浸水 |
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風による災害 | ・暴風 ・高波 ・高潮 |
雨と土砂による災害 | ・土石流 ・がけ崩れ ・地すべり |
雨による災害
台風による大雨は、川の氾濫や、洪水、浸水をもたらします。日本は山から海にかけての傾斜が急です。そのため、大雨が降ると、地域でもっとも低い位置にある川にすべての水が流れ込み、結果として水があふれだして洪水や氾濫被害が発生します。
日本は地理的に洪水が起こりやすい地形をしているため、対策として堤防が設置されている地域もあります。しかし、近年の台風は大型で強力なものになっていることもあり、堤防が決壊することで浸水被害が広範囲に広がる被害が度々起こっています。また、雨水が浸透できる土の露出が少ない都市部では、側溝や下水道の排水機能が大量の水を処理できず、被害が出ることもあります。
風による被害
暴風による被害が発生することは、よく知られています。風が強まる範囲は、大雨が降る範囲よりも広いため、広範囲で被害が出る傾向があります。平均風速が秒速15~20mになると、人が転倒したり、車の運転が困難になったりします。風速がそれ以上になると、建物が損壊する、電線が切れて停電する、電柱が倒れるといった被害が出ます。
沿岸部では、強い風によって高波による被害が出る場合もあります。また、高波と並んでよく起こる高潮があります。高潮は、低気圧によって海面が吸い上げられたところ、強風によって海水が沿岸部に吹き寄せる現象です。高波や高潮は、沿岸部の人家を壊滅させたり、海水に含まれる塩分が農作物や土壌に塩害を発生させたりします。
雨と土砂による災害
山や土壌が大量の水を含むことで、土石流やがけ崩れ、地滑りが起こります。土砂災害は、水に土砂が加わることで、破壊力も危険性も増してしまいます。
土石流は、川に山腹や川の土砂が、大量の水によって一気に押し流される現象のことをいいます。猛スピードで下流に水と土砂が流されるため、建物も含め周囲のものを壊滅させるパワーがあります。
がけ崩れは、斜面の表面が水によってゆるみ、滑り落ちる現象です。突然崩れるため、がけ下にいる人や人家が巻き込まれることも珍しくありません。
地すべりは、斜面にしみ込んだ水によって地面が下方に移動する現象です。地面の深い部分から広範囲の土地が動くため、甚大な被害をもたらします。
建物診断と火災保険の活用を推進している団体です。
自然災害での被害を自覚されている方、過去3年以内に被害の工事を行った方はご相談ください。火災保険が受け取れる可能性があります。
建物を診断後、火災保険が認められない場合は、お客様から費用をいただいておりません。
※一部地域は対象外の場合もございます。詳しくはお問い合わせください。
台風が来る前に確認しておきたいポイント
具体的な対策を行う前に、自分が住む地域の特性や、どのような被害が想定されているのかを確認しておくことが重要です。
過去の被害状況
被害の内容や被害規模など、周辺地域の過去の被害状況を参考に備えを検討しましょう。何度も近くの川が氾濫していれば、台風による大雨でまた氾濫、洪水が起こる可能性があります。
ハザードマップ
国土交通省によって、洪水・土砂災害などのリスクや、土地の特徴、成り立ちを確認できるハザードマップが作成されています。ハザードマップを確認し、発生しやすい被害やその範囲を把握しておきましょう。大雨の際に冠水する恐れのある道路や、通行止めになる区間なども確認できるため、避難経路の設定にも活用できます。土地の成り立ちは、地形の脆弱性や液状化のリスクなども把握できるため、台風だけでなく地震などその他の災害の備えにも役立ちます。
土砂災害危険個所
各都道府県で、土砂災害が起こりうる場所を土砂災害危険個所に指定し、それぞれ公表しています。台風が接近した際には、土石流やがけ崩れ、地すべりが突然起こる可能性があるため必ずチェックしておきたい情報です。都心部であっても、高台にある地域など場所によっては被害が発生する恐れがあるため、近くに該当箇所がないか確認しておきましょう。
避難経路と避難場所
過去の被害状況やハザードマップ、土砂災害危険箇所の情報から、被災したときに避難する場所や行き方を家族で確認しましょう。道路が冠水していたり、トラックが横転していたりとトラブルも考えて、避難経路は複数検討します。スマホが使えなくなる可能性もあるため、公衆電話の場所も確認しておくと良いでしょう。
避難のタイミング
台風によって大きな被害が出れば、避難が必要となりますが、逃げ遅れて孤立するケースが多々あります。避難が遅れれば、自分と家族の命が危うくなってしまいます。
自治体は避難勧告や避難指示を発令しますが、危険度は家の立地や状態によって変わるため、自分で判断することが重要です。避難に時間がかかる人がいる場合や、ハザードマップで洪水浸水想定区域に指定されている場合などは、気象庁の警報が出た時点で避難しましょう。
避難に関する注意点
台風時の避難は、危険が伴います。そのため、あらかじめリスクを把握して対策しながら、避難することが重要です。靴は歩きやすい紐靴を用意しましょう。長靴は中に水が入って歩きにくく、サンダルはケガをする危険があるため避けてください。小さい子どもは、シーツや抱っこ紐で大人の体に括りつけてください。水中を歩いて避難する場合、家族がバラバラにならないよう、ロープでつないでおくのがおすすめです。ただし、水位が膝以上ある場合、まともに歩けないため、近くの建物内に留まりましょう。
台風対策は何をしたらいい?
台風は、一般的に7月は沖縄県で、8月は沖縄県と九州地方で、9月になると和歌山県で上陸する傾向にあります。ただし、台風の進路は、大西洋高気圧の位置や大陸から吹く偏西風、その他さまざまな要素によって決まるため、正確に予想することは困難です。そのため、台風シーズンが始まる前に対策を進めておくのがおすすめです。
ここでは、台風による被害を最小限に抑えるための対策方法について紹介します。
日常的な備え
まずは、日ごろから行っておきたい備えについて確認しましょう。台風が近づいてから対策をすると危険なものやパニックの原因となるものもあるため、平時のときに行ってください。
● 非常用バックの用意
非常時に持ち出す品は、常にまとめておきましょう。緊急時でも持ち出せるように、玄関に置いておくのがおすすめです。水や非常用食料、防災グッズなどは、台風が近づくと購入者が殺到して、手に入らなくなる可能性があるため、常備しておいてください。ただし、持ち物が多いと避難しにくくなるため、家族で分けたり、最小限に抑えたりと工夫が必要です。
<非常時に持ち出す品>
- 防水リュックサック
- 飲料水
- 非常用食料(レトルト食品・缶詰・粉ミルクなど)
- 救急薬品や常備薬
- 生理用品
- 現金(公衆電話用の小銭も含む)
- 通帳
- 健康保険証など身分証明書
- 下着や最低限の着替え
- タオル
- 雨具
- 寝袋
- カイロ
- 予備のメガネ
- 懐中電灯
- 携帯ラジオやワンセグ携帯
- 乾電池や携帯充電機
- 地図
- ライターまたはマッチ
● 住宅の備え
台風の際に大きな被害が出るのが住宅です。日ごろから点検したり、手入れをしたりすることで被害を最小限に抑えることができるでしょう。
<確認しておきたい箇所>
- 屋根の瓦やトタン板がめくれていないか、破損がないか
- 雨戸やシャッターに破損がないか、しっかりと閉まるか
- 雨漏りがないか
- アンテナの固定がゆるんでいないか、さびていないか
- プロパンガスボンベがしっかりと固定されているか
- エアコンの室外機がしっかりと固定されているか
- 雨どいやベランダの排水溝、側溝につまりがないか
- 窓ガラスの飛散防止ができているか
- 庭木が電線にかからないよう手入れできているか
- 家の周りの塀が破損していないか、ぐらついていないか
- 土のうが準備してあるか(洪水浸水想定区域の場合)
台風接近時の備え
台風が近づいてきたら、風が強まる前に早めに準備に入りましょう。台風による被害は、地震と違って備える時間があるため、危険を感じる前に対策することが重要です。
<家の外の対策>
- 鉢植えや物干し竿を室内に入れる
- 植木を固定する
- 自転車は室内に入れるか、固定する
- 物干し台を倒す
- 郵便受けと換気口をガムテープで閉じる
- 雨戸やシャッターを閉める
- 窓に段ボールを貼って補強する(雨戸やシャッターがない場合)
- 土のうまたは水のうを積み上げる洪水浸水想定区域の場合)
水のうは、土のうがないときに活用できます。ゴミ袋に水を入れ、空気を抜いて縛ります。これを段ボールにつめれば、土のうの代わりとして使えます。床下浸水を防ぎたい場合は、床下の換気口に、土のうや水のうを置きましょう。床上浸水を防ぎたい場合は、レジャーシートで土のうや水のうを包んで、出入口に隙間ができないよう塞ぎます。
<家の中の対策>
- 窓やドアを施錠する
- 窓に飛散防止フィルムまたは、ガムテープを貼る(雨戸やシャッターがない場合)
- カーテンやブラインドを閉める
- 断水に備えて浴槽に水を溜める
- 携帯充電器を充電する
雨戸やシャッターがない場合は、段ボールを外側に貼り付けることで簡易的に窓ガラスを保護することができます。このとき、隙間が内容しっかりと目張りします。飛散防止フィルムがない場合は、ガムテープを米の字に貼りましょう。大きい窓ガラスの場合は、より細かくテープを貼ることで飛散対策ができます。
台風被害にあったらどうしたらいい?
いくら対策を講じても、自然の驚異は予想を超えるものがあります。強い勢力を持った台風によって、被災する可能性があるため、最後は被災したときの対応について紹介します。
罹災証明書をもらう
罹災証明書とは、災害による被害の程度を市区町村が認定したことを示す書類です。被害の程度には、床下浸水や床上浸水、一部損壊、半壊、大規模半壊、全壊などがあります。罹災証明書を発行してもらえれば、県民税や市民税など減税や、医療費の減免、被災者生活再建支援金の給付、災害援護資金の貸付などが受けられます。被害認定状況によっては、仮設住宅や公営住宅に優先的に入居できるため、被害を受けたらすぐに申請してください。
ただし、申請には期限があったり、被害状況を客観的に提示したりと注意点も多々あります。被害にあったら、早めに被害状況を確認し、業者に修理を依頼する前に市区町村役場に相談しましょう。
火災保険会社に保険金を請求する
火災保険に加入している場合、保険金が受け取れる可能性があります。まずは、火災保険の適用範囲を確認して、保険金の支払い要件に当てはまる被害なのかを確認しましょう。
保険金を請求するためには、被災状況を知らせる書類を作成・提出したり、損害鑑定人が現場を調査したりする必要があります。ただし、災害救助法が適用される災害で被災した場合、罹災証明書があれば必要書類の一部を省略することができます。
まとめ
今回は、台風への備えや注意点を中心に紹介しました。台風は発生してから、接近まで時間的な余裕があるため、しっかり備えておくことで被害を抑えることが可能です。万が一に備え、今回紹介した内容を参考に家族で話し合っておきましょう。
もし、建物に被害があった場合は全国建物診断サービスまでご相談ください。完全成功報酬型で、保険金がおりて工事をした場合は手数料等は頂いておりません。くわしくはお問い合わせくださいませ。
記事監修
【一級建築士】登立 健一 一級建築士。全国建物診断サービスのwebサイト監修の他、グループ会社の株式会社ゼンシンダンの記事も監修。 |