本は地震大国といわれていて、先日も大阪で震度6強の強い地震があり、市内などに大きな被害を受けてしまいました。
かねてより地震の予知の研究が行われてきましたが、この地震予知とは、地震の起こる「時間」「場所」「規模」の三要素を限定して予測することで、それぞれが曖昧なものではあまり意味を成しません。
しかしながら、現在の科学的知見では数ヵ月後の日時を指定したような信頼性の高い地震の予測は難しいとされています。そのため、日頃から地震に備えておくことが大切です。
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大地震は突然やってくる
ここ100年の間に、日本では関東大震災(1923年)や
阪神淡路大震災(1995年)、
東日本大震災(2011年)などの大地震により尊い命が奪われました。
そして今、将来的に起こるのではといわれているのは、南海トラフ地震(四国の南の海底にある水深4,000m級の深い溝を震源とする地震)です。この南海トラフ地震は、100~150年周期で発生していることがわかっていますが、その発生間隔にはばらつきがあること、そして震源域の広がり方に多様性があることから、正確な地震の発生時期・場所・規模を予測することは非常に難しくなっています。しかし、南海トラフ沿いの大規模地震の予測については、プレート境界面上のすべりの発生や、プレート間の固着状態の変化が起こっている兆候を検知できれば、地震発生の可能性が高くなっていると判断できるため、備えにつなげられると考えられています。
南海トラフ沿いでこのような異常な現象が観測された時には、気象庁が「南海トラフ地震に関連する情報(臨時)」を発表することになっています。
これは、調査の開始時から継続している時、または南海トラフ沿いの大規模な地震発生の可能性が高くなったと判断された時に発表されるものです。しかし、南海トラフ地震の発生前に必ず異常な現象が観測されるわけではないので、いきなり大きな地震が起こる可能性がないわけではありません。とは限らないため、南海トラフ地震に関連する情報を発表していなくても、南海トラフ地震が発生することもあります。
このように、地震というものはいつ起こるかわかりません。言い変えると、いつ起こっても不思議ではありません。
その被害を最小限にするためには、日頃から備えておく必要があります。その備えには、建物そのものに対する備え、建物の中にある家財に対する備え、そして自分自身への備えです。そのような備えをしっかりしておくことで、いざという時に生き延びることができるわけです。ここからは、それぞれの備えについて詳しく紹介して行きたいと思います。
家を守る「耐震」「制震」「免震」の違いとは?
1981年煮建築基準に関する大きな改訂があり、その後耐震偽装問題が起こったこともある日本ですが、東日本大震災以降はより一層地震に強い住宅が必要との認識が広まっています。最近の不動産サイトでは「耐震」「制震」「免震」といった言葉も良く見られるようになりましたが、これらが具体的にどう違うのでしょうか。
地震は住宅を購入する上で大きなリスクになるものです。この「耐震」「制震」「免震」の違いを知り、特性を理解することもひとつの地震対策といえます。
耐震構造
「耐震」とは、壁・柱を強化したり補強材を入れたりして、建物自体を硬くすることで振動に対抗する構造です。
特徴として「建物の倒壊・損害が少ない」ことが挙げられます。一方で揺れが激しく、建物の上部ほど激しいことが挙げられます。一方で基礎に負担がかかるため修繕にコストがかかる点が挙げられます
制震構造
「制震」とは、建物内に“ダンパー”と呼ばれる振動軽減装置を設置することで地震のエネルギーを吸収する構造です。
特徴として繰り返しの振動に強いというメリットがあります。一方で建築物の中につくるものですので後付が難しいという欠点があります。
免震構造
「免震」とは、建物と地面の間に免震装置を設置することで、建物を地面から絶縁して振動を伝えないようにする構造です。建物の損傷が少なく一番効果のある一方で費用が一番かかり、対応業者が少ないため、まだ一般住宅に普及するのに時間がかかると思われます。
このように、「耐震」「制震」「免震」は地震に対するアプローチが全然違います。ちなみに、日本国内で一番普及しているのは「耐震構造」の住宅で、年間で10万棟以上の建物に採用されている工法です。
また、今注目を集めているのは「免震構造」です。年間250棟ほどという施工数ではありますが、2017年12月にリニューアルした東京駅の丸の内駅舎にも採用されました。「耐震」「免震」ともに建物自体の損壊を防ぐという目的を持っていますが、「免震」の場合は建物内の揺れを軽減するという役割も果たしますので、地震対策という意味では一歩優位になっていると考えられます。基礎部分に埋め込まれた免震装置がポイントになるのですが、この装置のおかげで激しい地震エネルギーを吸収してゆるやかな横揺れに変化させ、被害を最小限に食い止めるという構造になっています。この構造のおかげで、耐震・制震構造よりも揺れが三分の一程度に抑えられるという実験結果が出ています。
では、この免震装置とは何なのでしょうか。
これは、鉄とゴムをミルフィーユ状に重ねた積層ゴムです。硬い鋼板と柔らかいゴムを幾層にも重ね、上下の圧力に耐えられるような構造をしています。左右の揺れに対しては柔軟に変形・復元するので、揺れを最小限に抑えられる仕組みになっています。中でも、ブリヂストンが開発した免震ゴムは「高減衰積層ゴム」と呼ばれ、ゴム自体に地震エネルギーを吸収する減衰機能を持たせています。このゴムは国内チェア50%を誇るヒット製品となっています。
このように優れた耐性をもっていながらも、免震構造はあまり普及していません。
というのも、耐震構造の建物と比較すると、工事費のコストが高くなったりスケジュールが伸びたりといったデメリットもあります。コストや納期を考慮しても、今後の大地震に備えるかどうかは、受注者次第ではあります。
免震装置は、いったいどんな仕組みになっているの? 一軒家でも免震装置は付けられる?
いざという時に家具を守るストッパーたち
家具が転倒しないように固定するグッズには様々なものがあり、その使用法を間違うと意味をなしません。そのため、正しい使用法を理解し設置する必要があります。では、具体的にどのような地震対策グッズがあるかを紹介していきましょう。
L字金具
家具における地震対策グッズの筆頭に挙げられるのが、L字金具です。ねじで家具をしっかり壁・柱に固定できるので転倒するリスクが低くなります。特に重い家具には効果的です。ねじを使用しないものもありますが、効果は低くなってしまいます。壁や柱に傷を付けたくないなどという場合、ねじを使わないタイプとほかのグッズを併用することをおすすめします。
ベルト・チェーン
ベルトやチェーンを使って、壁に家具を固定するという方法もあります。壁に柱が通っていない場合は、天井の柱をうまく活用しましょう。ストッパー式とベルト式の両方がついているグッズもあり、より強固な対策グッズとして利用されています。金具よりも強度は劣りますが、転倒のリスクをかなり減らすことができます。
ポール(伸縮棒)
ポールで突っ張る方式のグッズは以前より活用されていましたが、使い方を間違うと意味がなくなってしまうので注意が必要です。奥行きのある家具で、天井と家具の隙間が狭くなる場合は効果的な方法です。それ以外の場合は効果が薄くなる可能性があるので、粘着ゴムやストッパーなどを併用して強度を高めます。このポールを使った地震対策で覚えておきたいことは、手前で突っ張っても効果があまりないということです。家具が倒れる時は、手前側が前に倒れようとするので上下に力が加わっていてもあまり意味がありません。後ろ側をしっかり固定しておくと、家具の浮きを防止できるので、ポールを使う際は必ず後ろ側を固定するようにしましょう。
<ストッパー>
家具を後ろに傾けることで、前に倒れにくくするのがストッパーです。L字金具やポールと比べると手軽に設置できるのが魅力ですが、効果はそれらに劣ります。そのため、できればほかのグッズと併用するのが良いでしょう。しかしながら、最近は製品の性能がアップし、震度7でも家具が倒れないレベルのストッパーも発売されています。
粘着マット
粘着マットは最も簡単に設置できる地震対策グッズで、小型の家具や電化製品などの移動を防ぐために活用されます。白やベージュ、透明のものなどカラーも豊富なのでお好みでセレクトしましょう。また、水洗いすると再利用できるものも出ています。
手に届くところに防災バッグ
そして、いざという時にすぐに持ち出せる「防災バッグ」を用意しておくことも大切です。最近は簡易的な防災バッグが販売されるようになりましたが、日常生活に必要なものはそれぞれ違うと思いますので、以下のリストを参考に揃えておきましょう。
防災グッズをセレクトする基準としては、
①実際に生命の危機に陥るリスクを軽減するもの
②自宅が危機に面した場合に避難を手助けするもの
③健康を維持するために必要なものなどです。
●飲料水
目安としては1人1日3リットルです。4人家族5日分の場合は、3リットル×4人×5日で60リットルが必要になります。
●非常食
保存期間が長く(目安は2~5年)、火を通す必要がないものが理想的です。レトルト食品やインスタント食品、クラッカー、缶詰などをストックしておきましょう。
●医薬品
風邪薬や胃薬などの常備薬はもちろん、三角巾や包帯・ガーゼ、ばんそうこう、小型はさみ、ピンセットなどをストックしておきましょう。子供や高齢者がいる場合は必需医薬品を用意しましょう。
●衣類
防寒具や下着、毛布、軍手、雨具、カイロなどをストックしておきましょう。
●停電時用
懐中電灯やライト付き携帯ラジオ、ろうそくやマッチ、予備の電池をストックしておきましょう。携帯製品は手巻きで充電できるものが便利です。
●避難所生活が続くことを想定したグッズ
着替えはもちろん、毛布や布団、寝袋、タオルのほかティッシュやビニール袋、生理用品、食器類などをストックしておきましょう。また、固形燃料やガスボンベなどの燃料系、トイレットペーパーや、バケツ、携帯用トイレ・簡易トイレなどもストックしておくと良いでしょう。携帯トイレや簡易トイレは、ホームセンターや通販で販売されています。
●貴重品
現金はもちろん、身分証明書や預貯金通帳、印鑑、保険証、パスポートなどもすぐに持ち出せるようにしておいたほうがよいでしょう。これらは日常生活でもよく使うものなので、保管場所を決めておきましょう。
●その他役に立つ日用品
メモ用紙代わりやガラスの破片の除去などにも役立つ布粘着テープや、食器の代用など何かと重宝するラップ、布団代わりにもなるダンボールなどがあると便利です。
最後の砦の地震保険
このように日頃からできる地震対策はたくさんありますが、最後の砦ともいえるのが地震保険です。この地震保険は、地震もしくは噴火・津波による火災・損壊・埋没・流失による被害を補償してくれる保険で、火災保険とセットで加入することになっています。そのため、地震保険単独で加入することはできません。
火災保険は、火災や自然災害による被害を補償してくれるものなのですが、地震に関してはその範囲から外れています。しかも、地震によって発生した火災も補償してくれないため、地震大国・日本においては地震保険への加入はするべきと考えられています。また、大規模な被害に備えて国がバックアップしている保険ですので、その点も安心材料といえます。
地震保険は火災保険の保険金の30~50%で設定することになりますので、住宅が全壊した場合全額を賄えないケースもあります。しかしながら、地震保険の目的は「復興を手助けする」ものなので、二重ローンになってしまった場合などに役立つ保険となっています。
地震保険は火災保険とセットで契約することになりますので、火災保険の補償対象がそのまま地震保険の補償対象になります。補償対象となるのは、「建物」のみ、「家財」のみ、「建物」「家財」両方という3パターンです。ちなみに、現在火災保険しか契約していない方でも、途中から地震保険に加入することはできますので、契約している保険会社に相談してみてください。
地震保険の保険料は、都道府県別・建物の種別により決定し、それぞれ一律の金額となっています。いざという時のためにも、地震保険への加入を検討してみてはいかがでしょうか。
全国建物診断サービスでは地震未加入でも火災保険活用を推奨
2011年の地震や熊本地震での問い合わせでも、そもそもの地震保険に入ってないかたが多くいました。
また2011年以降に加入しても申請したら本地震が加入前なので否決と言われるケースも。
そんな方はすぐに御連絡を0120-131-071までください。
申請アドバイザーが親切・丁寧にお答えさせて頂きます。
記事監修
【一級建築士】登立 健一 一級建築士。全国建物診断サービスのwebサイト監修の他、グループ会社の株式会社ゼンシンダンの記事も監修。 |