2021年1月18日 公開
2018年の夏は毎週のように台風が発生し、その都度大きな被害を日本列島にもたらしました。
台風被害は大きな爪跡を残すものが多く、実は何度も大雨や強風が発生すると、一見ご自宅などに被害が及んでいないと思えるような箇所に、大きな損壊被害が出ていることがあります。
そこで今回は、台風が通過した後にチェックしておくべきご自宅の箇所6選と、加えて住宅ご購入前にチェックしておきべき箇所をまとめてみました。
下記の関連2記事と合わせてご覧ください。
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台風によるご自宅被害の調査時に使えるチェックリスト
台風通過後にチェックすべき項目ですが、まず一戸建ての場合では屋根瓦のずれをチェックすることが大切です。
強風の影響で瓦がずれてしまうと、すぐに雨漏りにつながってしまいます。
雨漏りが起こり住居内に雨水が侵入しやすい状態になると、建物自体の劣化が一気に進んでしまいます。
また、ずれが生じている瓦は次の台風時に飛んでいってしまう可能性があります。
隣の家や周辺の車や歩行者に影響が出る可能性があるので早急に補修が必要です。
そして、マンションの場合は屋上の枯葉の堆積をチェックすることが大切です。
このチェックは、自分でするというよりも管理会社に依頼して日常的に見ない共用部分の点検をしてもらいしょう。
屋上の排水口に枯葉やゴミなどが堆積していると屋上の溜まった水がうまく排水されず、屋上から水があふれ出てしまうことがあります。
この場合、多くの住宅に被害が及ぶことが予想されますので、早めに確認が必要です。
また、機械のセンサー類が故障するというトラブルの可能性もあります。
エレベーターやオートドアが誤作動を起こしてしまうと、最悪の場合人命に関わるケースもありますので、いつもと動作が違うようであればすぐに管理会社に連絡をしてチェックしてもらうようにしましょう。
また、上記以外にも共通してチェックしておきたいのは以下の不具合です。
チェックその1:ガラスの傷やひび
ガラスに傷やひびが入っている場合、ほおっておくと二次災害につながる可能性があります。次の台風で何かしらの物体が飛んできた場合、ガラスが割れて大ケガをするリスクも。
ガラスに傷やひびを見つけた時は、すぐにガラスを交換するか飛散防止フィルムを貼るなどして対策をしましょう。
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チェックその2:ユニットバスや最上階の天井裏の雨漏りによる変色
ユニットバスや最上階の天井裏が変色していないかチェックしましょう。これは、雨水が浸入していないか確認するために行うもので、もし天井裏などが変色していたとしたら、ひどい雨漏りが起きていることになります。
チェックその3:各部屋の給気口周辺の濡れ
給気口には「スリーブ」という配管が埋め込んであり、部屋の空気と外気の入れ替えを行っています。この給気口スリーブ周辺が濡れている場合、今後 腐食が進み、雨水が浸入しやすくなる可能性があるので、日常的に確認しておくことが大切です。
チェックその4:バルコニーから水滴が落ちる
バルコニーを見上げ、排水口以外から水滴が落ちてきている場合、雨漏りが起きている可能性があります。外壁が乾いているのに水滴が落ちる場合は、外装材と下地の間に雨水が入り込んでいることが考えられ、放置しておくと外壁の傷み・腐食等が進みます。早急な処置が必要です。
チェックその5:室内の壁の変色
激しく雨漏りが起きてしまっている状況です。内壁にまで水が浸入しているということは、家中に水が浸入してしまっている状態でもありますので、早急な処置が必要です。台風が過ぎて直ぐ(数時間後くらい)に内壁が変色してきた場合は、次の台風までに処置修繕しなければ、一気に被害が拡がり、その分修復費用も大きくかかります。
チェックその6:雨樋に溜まる葉っぱやゴミ
台風により多数の葉っぱやゴミが雨樋に溜まって詰まり、雨樋が機能しなくなってしまうことがあります。葉っぱやゴミが排水口を塞ぎ、雨水がうまく流れずにあふれ出てしまいます。溢れ出た雨水は、浸水被害の要因になりますので、すぐに撤去するようにしましょう。
「雨漏り」というと、屋根に大きな穴が空いて雨水が入ってしまうといったイメージかもしれませんが、実はちょっとした損傷でも雨漏りは起きます。
最初は微細な破損でも、いつの間にか住宅の腐食にまで被害が及ぶほど、どんどん大きくなることもあります。特に一戸建ての場合、屋根(の構造)は1つの材料で作られるのではなく、何枚もの瓦やスレートを組み合わせて作るため、必ず継ぎ目・繋ぎ目がうまれます。
屋根材を複数組み合わせて連結させるということは、「たった1つの屋根材の損傷が、全体の被害にまで及ぶ」ということです。最初は軽度な破損だとしても、雨漏りの二次トラブルである「カビ・変色・腐食」や「漏電」などは、思わぬ大きな被害をもたらす可能性があります。
「カビ」が生えると悪臭と木材の腐食が進みますし、「漏電」が発生すると最悪の場合は火災につながります。
雨漏りの放置は予想外の大きなリスクの原因になります。台風が通過した後はこの記事で挙げる6点は最低でもチェックされることをおすすめします。
雨漏り予防は無料のホームドッグを⇒ホームドッグを受ける必要性を教えます
台風は雨・風の両方が建物に強く当たるため、屋根に損傷が起きるケースが多いです。それにより雨漏りが起こり、知らない間に少しずつ建物を蝕みます。台風による直接的な被害はもちろん、この雨漏りが住宅・建物にとっては非常に厄介です。
雨漏りの放置は大きなリスク要因となりえます。台風通過後にさまざまな箇所をチェックし、雨漏りによる被害拡大を防ぐことが肝要です。
台風により屋根に損傷が起きた場合、修繕・工事費用は、状況に応じて大きく変わります。瓦やスレートが浮いているだけであれば簡単な施工で終わりますが、雨漏りが発生している場合は、屋根(の大部分)だけでなく、外壁などの修理も加わり、多額の修理費用が必要になる場合があります。
しかし、ここが重要ですが、台風や強風などの自然災害で建物やご自宅に被害が及んだとき、ご加入の火災保険で修理費用をまかなえることがあります。
火災保険なので「火災のときだけ?」と思われがちですが、ひろく、自然災害に対する補償もカバーしています。
台風や強風などの自然災害で建物・ご自宅に被害が発生し、火災保険で修理ができるか知りたいかたは、当法人 全国建物診断サービスまでお気軽にお問い合わせください。
検討することをおすすめします。
強引に工事を進め、高額な請求をする「壊し屋」に注意!!
最後に、台風の後によく起きる詐欺まがいの、通称「壊し屋」と呼ばれる悪徳業者の手口について解説します。
台風で屋根が損傷してもご自身で屋根に上って調査することはなかなかできないものです。また安全面においても、素人は屋根には上がらない方が良いです。
しかしそれに付け込んで、「壊し屋」と呼ばれる悪徳業者が台風直後に「無料で調査をします」などと言ってやってきます。
そして、壊れていない瓦やスレートを自らの手で破壊し「台風で壊れていましたので、修理しないと大変なことになりますよ」と迫り、高額な工事契約を強引に結ばせてしまうのです。
ところで屋根の破損部分について、台風で壊れたか、人の手によって人為的に壊されたかは、専門家が見れば簡単に見分けがつきます。
そのため、他社の入るすきを与えないように手早く契約までこぎつけようとします。
工事が完了してしまうと、台風で壊れたのか故意に壊されたかは確認のしようがないので、泣き寝入りするしかなくなってしまいます。
ちなみに、台風で壊れたのであれば、火災保険を活用すれば補償されるケースが多いですが、そのような手続きをしないのも「壊し屋」の特徴です。
台風の後に、訪問営業をかけてくる業者はすべてではもちろんありませんが、ここで紹介した「壊し屋」かもしれないと注意を払う必要があります。安易に屋根の上に上らせないように気をつけましょう。
「建物」だけでなく「家財」の補償も検討すべき
火災保険の補償対象となっているのは、住居そのものである「建物」と、その建物の中にある家電製品などの「家財」です。台風によって建物に被害が出ることは想像できますが、家財が被害を受けるということはイメージできないかもしれません。
しかし、雨漏りで家電が動かなくなってしまったり、浸水により絨毯が使い物にならなくなってしまったりということも考えられます。そのような状況になった時に、「建物」にしか火災保険がかかっていなければ、「家財」は補償されないため、自費で再購入しなければなりません。
このように考えると、毎月の掛け金は多少増えてしまうかもしれませんが、「建物」だけでなく「家財」も火災保険の対象に含めておくことをおすすめします。
建築中やリフォーム途中の現場もチェックする
住宅を購入し、建設中やリフォーム中でも被害を最小限に食い止めるためにはチェックをしておいたほうがいいでしょう。例えば、建設中に屋根がまだない状態で柱や床材などが濡れてしまった場合は、特に問題はありません。梅雨・台風がある日本では、雨によってむき出しの柱が濡れたままの状態で建設が進んでいることがよくあります。また、基礎部分に水が溜まっている状態もよく見かけますが、最終的にはポンプなどでしっかり排水しますので大きなトラブルには発生しません。また、木材はもともと多少なりとも水分を含んでいますので、乾燥させれば強度的な問題はありません。しかし、波打つくらいの変形や膨張、異常な変色を起こっている時は何かしらの異常が発生していることが考えられるので、注意が必要です。施工業者に、大丈夫かどうかを確認することを忘れないように注意しましょう。
また、防水工事中の場合は、台風の予報が発表された時点で強風対策を行うのが一般的です。足場が倒壊する危険があれば、足場を解体したりスケジュールの調整をしたりします。
多くの場合は、屋根や外周部に養生をして対策するのが普通です。また、台風が通過した後には、室内・外部問わず木材がどれだけ濡れているかを確認しましょう。乾いていれば問題はありませんが、防水工事をする箇所が乾燥しないまま工事が進んでいると後々のトラブルにつながるのでチェックが必要です。
購入前にチェックしておきたい冠水リスク
地域によって、地形も違いますし下水道整備の状況も異なります。そのため、場所によっては大雨が降ると水が溜まって道路や田畑が川のようになってしまう「冠水」という状態になって
しまうことがあります。この「冠水」が起こりやすい地域がどうかは、該当の地方自治体に聞きに行くかハザードマップを確認すればわかりますので、事前に情報収集をしておくことが重要になります。せっかく綺麗な新築を購入したとしても、早々に冠水してしまっては意味がありません。
記事監修
【一級建築士】登立 健一 一級建築士。全国建物診断サービスのwebサイト監修の他、グループ会社の株式会社ゼンシンダンの記事も監修。 |